こんにちは!中央区議会議員の高橋元気です。
令和5年5月補正予算案の審議が行われ、この度中央区議会においては賛成多数で可決されました。
予算案の中身は、
1.電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援給付金 6億3,685万円
電力・ガス・食料品等の価格高騰による負担増を踏まえ、特に家計への影響が大きい低所得の世帯に対する支援を目的として、重点支援給付金を支給します。
支給額:1世帯あたり3万円(約19000世帯)
2.住民税非課税の高齢者に対する区内共通買物・食事券の臨時給付 2億1,378万2千円
食料品等の価格高騰により、特に厳しい生活環境に置かれている低所得の高齢者の生活支援を目的に、区内中小小売店・飲食店等で使用できる共通買物・食事券(シルバー応援買物券)を支給します。
支給額:1人あたり12,000円分(500円券×24枚)(約13500人)
今回の補正予算案について、①②共に国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を原資としています。
地方創生臨時交付金は、コロナ対応を起点とし、地方公共団体が地域の実情に応じて、きめ細やかに必要な事業を実施できるよう国が交付するものです。
国がこの事業をやって欲しいといって直接降りてくるメニューもありますが、推奨事業メニューの中で、自治体が自由に事業計画を提出し、交付を受けられる点が特徴です。(毎年度、交付金の限度額あり)
①の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援給付金は前者で、国が昨年度に実施した給付金の増額を決め、原則全自治体で共通して実施されるものです。
一方で②の住民税非課税の高齢者に対する区内共通買物・食事券の臨時給付は、中央区が独自で事業計画を立て、中央区がこれをやりたいと言って手を挙げるものです。
同事業は昨年度も私はその問題点を取り上げました。
まず区の説明に疑問があります。何故高齢者のみを対象にしているのか?
⇒子育て向けの給付は他の施策で既に行われているため、全体のバランスを見た時に、限られた予算の中で今回は高齢者に特化した。
ご高齢=生活が苦しいと定義すること自体がおかしい。実際に高齢の方からも、馬鹿にするなと言われている。それならばこれまでの臨時給付金のように年齢ではなく、所得で分けるべき。また、少なくとも対象は全区民を対象とするべき。
また、子育て世帯に対しては他の施策で支給しているというが、本区においては臨時特別給付金についても50%超の世帯の方々が支給対象外であり、そもそも支給されていない。
本施策についてはご高齢の方からもなぜこんなことをするのか、いらないといった声もあった。ご高齢の方の支援を継続することにもちろん異論はないが、本施策は、支給対象と支給根拠に合理性・公平性を欠いており明らかにおかしい。
以上を理由として反対するものでした。
今回の施策につきましても、前回補正予算から8か月で更に高齢者のみを限定して、区内共通買物券(12000円分)を支給する必要性があるのか、という点について会派かがやき中央としても真剣に議論を致しました。
まず、前回高齢者向けの区内共通買物券の支給との違いは、住民税非課税世帯に限定した点のみです、これは恐らく会派として前回反対討論をした結果、区が方針を転換したのであると思います。
しかしながら物価が高騰して苦しんでいるのは、高齢者だけではありません。むしろ多子を抱える世帯は特にその煽りを受けることは間違いがありません。
本施策を評価するに当たって重要であると考えたのは、
①対象の妥当性
②事業(金額)の妥当性
③タイミングの妥当性
の3点です。
①対象の妥当性
何故、高齢者(65歳以上)に限定するのか?前回区との答弁の中で、高齢者に限定する理由は、国民年金支給額の引き下げ(0.4%)を理由としていました。
ところが、本年度国民年金支給額は2.2%引き上げが発表されています。
区は年金しか収入がないという不安な状況を解消してあげたいと言いますが、所有している資産については把握出来ません。本当に生活に困っているかどうかは正直分からないのです。また、年金支給額の引き上げにより国はご高齢の方に対しては既に支援をしています。区が主張するように他の事業とのバランスを取るのであれば、更にご高齢の方に支給をするという点はバランスを欠きます。
少なくともお金を配る事業を選択するのであれば、困っているかどうかは、年齢によって区別をするのではなく、全住民を対象に、収入の過不足で区別するべきであると考えます。
②事業(金額)の妥当性
そもそも、地方創生臨時交付金は、自治体が様々に事業を選択出来ます。区民にお金を配ることに限定されるものではありません。
例えば保育施設や区内飲食店などの事業者に対する支援。
医療従事者やヤングケアラーに対する支援や、地域交通の無料化など交通に対する支援。
企業のテレワーク、オンライン対応や教育現場におけるオンライン授業支援など、
国の事業実施事例を見ていくと、他の自治体は様々な事業を当交付金を活用して実施しています。
こんなに沢山のメニューがある中で、
何故中央区は高齢者(65歳以上)に対する共通買物券(12000円分)の支給を選択したのか??
同じ原資(国の交付金)を使うとして、コロナ禍に苦しむ区民の方々への支援として、最も意味のある、効果の高い事業であると何故判断したのか??
ちなみにこの12000円の算出根拠は質問しましたが、
区が算出した物価高等による影響=約27000円/人
国民年金受給額の引き上げ(年換算で約15000円)
差し引きして12000円であると説明を受けました、、、だから何だと。
そもそもの事業の妥当性という点で全く同意出来ません。
また、中央区以外に、この地方創生臨時交付金を、ご高齢の方への買物券支給に活用している自治体は、23区だけでなく、全国でも聞く限りはありません。
③タイミングの妥当性
今回の補正予算案は、各議員の所属委員会や議長・副議長などを決めるための臨時議会で急遽提出されました。
福祉保健をはじめとした所管の委員会にて審議等を十分に重ねることなく、しっかりとした審議をするためには6月の定例会にて審議も行えたはずです。
この買物券の支給を急ぐ意味はそこまでありません。
各担当委員の決定からわずか4日で、企画総務委員会の審議を迎え、5日後となる臨時会で予算への議決を迫るものであり、改選後の議員が議論を重ねるのに正しい進め方であるとは思い難いです。
これは正直、区側が議会に反対させたくない(主にかがやき中央に対して)ため、時間を与えたくなかったと私は印象を持ちました。
会派の中でも、このタイミングでの補正予算案反対は、何にでも反対する野党会派という印象を持たれかねないので慎重にするべき(今回は賛成すべき)との意見ももちろんあり、かなり紛糾しました。
しかしながら、会派幹事長として、選挙前後によって議案に対する立場を変えるべきではない。個々の事業、政策に対しては一貫とした立場をとるべきであり、時間はないが議論を重ねるべきであると主張しました。
それが約10000票の信任を頂いた大会派の責任であると思います。
以上の理由から、かがやき中央は5月補正予算案に反対を致しました。
重ねてになりますが、住民税非課税世帯への給付やご高齢の方への支援自体に反対する訳ではありません。
中央区が選択する事業としての妥当性を著しく欠き、到底納得出来る説明が得られなかったため、反対するものです。
私もよく、高齢者差別だ、とか住民の分断を生んでいる、など言われることはありますが、
年齢による区別を行っているのは中央区です。
この予算案を通すことは出来ません。
令和 5 年度5 月補正予算案 反対意見表明 会派かがやき中央
早朝から区役所に集まり、真剣に熱く議論を重ねて頂いた会派議員の皆様に心より感謝致します。
本件についてのご意見、どうぞよろしくお願い致します。