吉田不曇副区長の5期目再任について

こんばんは、中央区議会議員の高橋元気です。

中央区議会は2021/11/22に第四回定例会に提案された議案、吉田不曇氏の副区長選任同意について、賛成多数で可決するものと決しました。

我が会派かがやき中央共産党は反対を致しました。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/143314

本件については、私もかなり悩み思うところがありました。前提として、私個人としては吉田副区長が好きです。尊敬しています。

しかし反対に至ったその経緯や想いを全て記すことが、区民の皆様に対する説明になると思い当記事を書きます。

そもそも副区長の職務は、区長を補佐し、職員の担当する事務を監督します。 また、区長に事故がある時、または欠けた時、区長の職務を代理します。 区長議会の同意を得て選任し、任期は4年です。

実質的なNo.2ですが、もちろん選挙で決まる人事ではありませんので、その選任の透明性は必要かと思います。

今回、反対意見のほとんどは、その5期20年に渡る長期政権化を懸念される声が多いと思います。確かに多選は過去に組織の硬直や権力の集中を生んできた側面はあると思います。また、吉田氏は75歳と既に高齢であり、世代交代を求める声も大きいでしょう。

ですが区民の皆さんは吉田不曇氏という方をよくご存じなのでしょうか?まちづくり協議会や、再開発事業に携わる方であれば良くご存じかと思いますが、それ以外の方はあまり面識がないかと思います。

だからこそ、普段接する区議会にその選任の是非が委ねられているのです


でも私は、年齢や多選だけを理由にするのはおかしいと思っています。中央区の副区長を担う人材として相応しいのか、という点を厳しく見るべきです。


昨年の同時期に、私は教育委員会の委員再任について、その選任プロセスについてTwitterで異論を唱えて中央区議会より懲罰を受けました。

議会外発言、それもTwitterの発言を理由として、議会内で議員個人に対して懲罰をかけることはやはりおかしいです。

しかし、私も反省すべきことは多いと思っています。議員なんだからTwitterで意見を表明するのではなく、議会でやれよと言われたらその通りです。

議案に対してしっかりと正面から議論をし、その選任が中央区政にとって相応しいのか調査し、判断することこそが議員の責務であると思います。

しかし、その選任同意について議会では実質的な議論がされていないことも事実です。その審議が委員会に付託もされません

もっとも、他会派内でどのような話し合いがされたかは私も承知はしてはおりません。


議論をそもそもしないとか、その人事を好き嫌いで判断することはただの思考停止です。副区長として相応しいのか、という点を今回は様々な角度から考えました。



【吉田不曇氏はどのような人か】


中央区副区長/1946年生まれ。
1970年、早稲田大学理工学部卒業。
同年4月中央区役所入庁、建設部建築課に配属。
1985年建築部副主幹、以降都市計画・地域整備分野の課長・部長を経て、2003年企画部長、
2007年より中央区副区長

ズバっと言ってしまえば中央区の裏のボスです。

これは皆さん言いづらいのかもしれませんがはっきりと言います。

ほぼ一貫して、中央区のまちづくりを担ってきました。人口回復が最大の課題であった中央区に超高層マンションを呼び込む再開発事業に力を注ぎ、10万人増のV字回復を達成出来たのは吉田氏なくしては出来なかったと思います。

行政計画の立案から、地権者との交渉東京都デベロッパーとの交渉、地元の方々との交渉を一手に引き受けてきました。

「剛腕」として知られるとニュース記事には書かれていましたが、東京都を相手にしても中央区のためなら相手を怒鳴りつけるように戦うその姿勢は今の時代本当に珍しく、昔気質な漢といった印象でした。頼れるボスという方です。

晴海まちづくり協議会の場で、東京都に対して区や地元の意見を通そうとされているその姿を見て、私も格好いいなと思ってました。

吉田副区長は、本会議や委員会で発言をする際には、一切台本を読みません。必ず自分の言葉で伝えます。また、議会が区の職員を追及して困った時、必ず俺に任せろと手を挙げて区の職員を助けるのも吉田副区長です。
議会に対してもしっかりと物申し、その背中の区民や職員を守る方でした。(たまに発言が過激ですが・・・)

さて、ここからは個人的な人となりを話します。


私が議員になってから、半年後、同僚の二瓶文徳議員とN国立花孝志党首が揉め、中央区議会2~30人程の傍聴者を引き連れて突撃してくるということがありました。

その時、私は25歳の1人の青年に対して、集団で圧力をかけてくる立花氏のやり方に憤り、立花氏に文句を言いにいきました。

党費を払う払わない、辞める辞めないとかは身内でやればいい話で議会に持ち込むな、2人でやってくれということを言いたかったのですが、当時の私は論理武装をしないまま感情的になって突撃し、返り討ちにされました。(情けない・・・)


結果、区議会からも鬼のように怒られ、区の職員からも情けないと非難されていたと聞きます。

しかし、そんな私に声をかけてくれたのが吉田副区長でした。

「おい元気!よくいったな!頼もしかったぞ!俺は嬉しかった!!」


私は、二瓶君のためにという気持ちもありましたが、私や私の大切な人が命を懸けてを送り出してくれた舞台である、中央区議会や中央区を馬鹿にされている気がして、単身立花氏とその仲間達に立ち向かいました。

やり方にもちろん賛否はあると思いますし、反省もしていますが、副区長からそう言って貰えるとは思わず、とても嬉しかったです。

また、一度副区長室に私を呼んで頂き、話をしたことがあります、その時に、

「今の暗い世の中、政治家はみんなの希望となって照らす存在でなくてはならない。お前にはそうなって欲しいんだ!」


と、言って貰いました。当時悩んでいた自分はその言葉にとても救われました。

行政の実質的なトップが、政治に対して希望を抱いてくれている。中央区は素晴らしい自治体だと思いました。


前述の通り、私が懲罰を受けた際にも、

「お前はYOUTUBERじゃないだろ!お前は議員だろうが!!」


と、激励をされました。

その通りです。私は議員です。私の背中には沢山の区民がいる。そして、区民の方のために誇りを持って仕事をするべき立場です。

沢山の言葉に、私も助けられました。


でも、私は議員です。議案に対してその人を好き、嫌いで判断することは区民への冒涜です。

だからこそ、しっかりとその議案について選任可否を判断するために、副区長に対して面談を申し込みました

「お前、議案の本人に対して面談したいと言ってくるやつ聞いたことねえよ」と笑ってましたが・・・・



主な質問は以下の通りです。



【Q.今後4年間で何を実現するつもりか】

A.築地の再開発、首都高速の地下化、築地川アメニティ構想、それらの計画について建設費ベースで事業を組み立て、国や東京都からお金を引っ張る。そのレールを敷きたい。KK線緑地化については中央区だけでなく47都道府県の庭を作るなど、これからの中央区、東京都、日本がどうあるべきかという大きな視点を考えながらレールを敷く

【Q.再開発だけでなく、SDGSの視点からのまちづくりに関する考えは?】

A.まず、中央区については土地の価格が非常に高く、再開発をする際には大規模開発として地域一体的な整備をせざるを得なかった。これは誰がやったとしてもタワマンのような開発になる。一方で持続可能なまちづくりという点から考えるのは、まず「人」がいなければまちは出来ない。家賃が高くなったら人は出て行ってしまう。そうならないために再開発では如何に今いる人にそのまま住み続けて貰うか、コミュニティファンドなども利用して住み続けられるまちに、という考えからまちづくりを進めてきた。この先の日本は国際的な交流によって飯を食っていく時代が来る。築地再開発はその象徴として考えている。

【Q.後継者問題について】

A.行政の副区長であるので、もし何かあったら代わりになる人材はいる。恐らく辞める時は国交省など他から引っ張って来るのでは。矢田区長が自分を引っ張ってきたので、矢田区長が退任し、現区長への引継ぎが終わったタイミングでという考えもあったが、コロナ禍も含めて紆余曲折もあった。

2時間くらい話していたので、ここでは書けないトークもありましたが・・・・主な質疑の内容は上記の通りです。



本面談の内容も受けて、会派内で賛否について議論をしました。

今の吉田副区長の代わりになれる人間は、結論中央区にはいません

吉田副区長だからこそ、国や東京都に対して物を言うことが出来ると同時に、デベロッパー等とも調整が出来ています。

なら再任に賛成なのか?という点で非常に悩みました。

一方で、渋谷区のように区長も副区長も40代、30代でバリバリとDX化を進めている自治体もあります。


中央区は目標としていた再開発による人口増加については、20万人という目標が目前に迫り、一定の目処が付いた。但し、晴海FLAGや月島地域、築地再開発や首都高地下化など、まだ大規模な再開発が残っており吉田氏の力は必要とも思えます。

もっとも本区が抱えるDXなど新たな課題に対する対応も急務です。中央区はその点がまだまだ弱い。

最終的に私が決断した判断基準はこうです。

どちらの未来が区民にとってよりよいものになるか?

つまりは、吉田副区長が再任され、残る再開発、築地やKK線、首都高地下化などを片付ける未来

その未来を諦めてでも、例えば築地再開発について区の意見が通らなくなりとん挫したとしても、

IT企業あがりのような若い民間人材を副区長に登用し、渋谷区のようにDXを念頭においたまちづくり、そして子どもファーストのまちづくりを進める未来

どちらが区民にとってよりよい未来だと信じるか

もし私が区長であったら、後者の未来を選びます。

だからこそ、私は吉田副区長の選任同意について、反対しました

また、人事案に反対するのであれば対案人事をという事になるかと思いますが、具体的に誰をというのは難しいため、この場合の対案は「当面、副区長は1人体制とし、本区のDX化など新たな課題に対応が出来る副区長人材を公募すること」となると思います。

個人のポリシーで言えば政治とは私はであると思っています。

騙し騙され、汚い人間関係が多い政治の世界だからこそ、私は何よりも人と人との仁義を重んじています

だからたぶん今の時代に珍しく、地に足をつけて堂々と重責を背負いながら、区民や職員を守る吉田副区長のことが好きなんですね。そして悩みました。

でも、吉田副区長はもう75歳です。

冒頭に言いましたが、年齢多選というだけで私は人を判断するべきではないと思います。

一方で、任期中に吉田副区長が例えば倒れられたら

選任に同意した議会の責任にもなります。

だからこそ、下が、もう休んでくれというべきなんです。

20年間吉田副区長に頼りっぱなしで、後継者を育てられなかったのは行政の責任です。

もっと言えば行政だけではありません、組織のトップが高齢者ばかりになってしまいいつまでも居座るのは、その人が悪いわけではなく、

その人を追いやる若手がいないことが問題だと思います。

「あんたの想いや仕事、組織の全部を俺が背負ってやるから安心して引退してくれよ!!」

そう言える度胸度量もある若手がいないんじゃないですか??

中央区にいないんだとしたら、情けない。

それどころか行政側が辞めさせてくれないんだな、と印象を持ちました。

なら吉田副区長に対しては、いつか私が引導を渡します。

ご恩を感じているからこそ、自分の役目であると思っています。



繰り返しになりますが、今回は非常に悩みました。個人的な感情が入ってしまうので、採決を棄権することも考えました。

しかし昨年懲罰を受けた際の反省、しっかりと議案に向き合い、疑問に思うならとことん調査し、ぶつけること。それが議員の責務であり、採決権をしっかりと行使することです。

そして、吉田副区長から言われた言葉

「お前は議員だろ!」

私はただひとえに区民の方のために仕事をしています。

議員だからこそ、しっかりと白黒つける。そして何故その結論に至ったのか、その経緯も含めて全てを区民の皆様にお伝えするべきだと考えました。

あとはこのブログは見ていないとは思いますが、吉田副区長は裏切られたと思っているかもしれない。でもいつか伝えられたらと思っています。もちろん仕事なので、反対してすいませんとは口が裂けても言いません。

何はともあれ、議会の賛成多数で吉田副区長は再任され、4年間の任期が開始されました。

お身体にはお気を付けて、今後とも共に中央区のために尽力して頂きたいと心より願います。

最後に、我が会派より反対を表明した際の意見開陳書を公開します。

▶吉田副区長選任同意反対意見開陳

賛成・反対に関わらず本議案に対してここまで向き合って、その結論に至る経緯を公開したのはたぶん私だけでしょう・・・・

でもちゃんとこう言えますね

「議員ですから」


スラムダンクの最後の花道の台詞と被ります。

ということで、長い投稿でしたが、読んで頂きありがとうございました。

それではまた!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です